不機嫌なあやかし




「出てこい『カイチ』。」



にいさんは静かにいった。


すると、どこからともなく犬の遠吠えが聞こえ、
いつの間にかにいさんの足元には、一匹の犬の姿があった。



「え、犬!?どこから入ってきたの!?
か、かわいい!!」



にいさんの足元にいる犬は、ぱっちりした瞳にクリーム色の毛並み。
耳はピンと立ってとっても可愛らしい。


一方、にいさんは私と違い、
険しい顔をしていた。