不機嫌なあやかし



私が静かにそう言うと、にいさんは軽く私の匂いを嗅いで言った。



「お前……妖(あやかし)臭いな。」



微かに緩んでいたにいさんの表情が、一気に引き締まる。



「あやかし……?」



妖って、もしかしてさっきの『雷獣』?とかっていうやつ……?



「もしかしてお前、見えるようになったんじゃないだろうな。」



見えるようにって……。