不機嫌なあやかし



「ご、ごめんなさい、蒼樹にいさん……
心配かけて、ごめんなさい。」


だから、だから早く離して!
恥ずかしいし苦しいよ!!

私はこれでやっと手を緩めてくれると思ったが、なんと逆に、私は更に強く抱きしめられた。


「んんっ……!
に、にいさん、苦し……!
は、離して!」


私は息も絶え絶えに訴えた。


「いやだよ。
本当に、お前が何か事件にでも巻き込まれたんじゃないかって、気が気じゃなかったんだからな。
お前可愛いから本当に心配で心配で……
よかったよ、無事で。」



にいさん……
そんなに心配してくれてたんだ。



「……ごめんなさい、蒼樹にいさん。
……ありがとう……。」