お、怒られる……!
そう思って私は強く目をつぶった。


「……?」


あれ?
怒らないの?
蒼樹にいさんの方を見ると、彼は乏しい表情のまま、なんと私を強く抱きしめた。


「なっ……ど、え!?
な、……んん!?……」



混乱して言葉が出てこない。



「心配したんだぞ。そんな可愛く言ってごまかそうとしても無駄だからな。」



顔を埋めた状態から、少し顔を持ち上げそう言ったため、ちょうど彼の口元には私の耳があり、
結果的に、彼は私の耳元で囁く状態となってしまった。



「……っ!」



彼が口から息を漏らし、言葉を発するたびに、
私の耳に彼の吐息がかかる。
ちょっと居心地が悪い。