不機嫌なあやかし



「はい!」


あれ、ちょっと待って、私なにか忘れてない?
なんだっけ、あの……
えーっとうーーーん、
そうだ!


「あの、すみません!」



彼は不思議そうな顔で、ゆっくりと振り返った。



「どうかした?」



私は、彼のポケットに入っている、雷獣を封印した壺を指差して言う。



「その……『それ』……雷獣?
どうするんですか?」