不機嫌なあやかし



そうやって、私が一人、心の中で騒いでいると、彼が静かな声で話しかけてきた。


「君は、どうしてあの場所にいたの?」


「……。
なんでかわからないけど……
呼ばれた気がして……。」


「呼ばれた?あの雷獣に?」


「たぶん。よくわかんないけど……。
あの大きい生き物、雷獣?って言うの……?」


私が尋ねると、彼は心底驚いた顔をした。


「そうだけど……君、
本当に何も知らなかったの?」