不機嫌なあやかし



「ほらはやく。」


彼に促され、私はついに
彼の背中に乗った。

本当にかすり傷しかないんだけどなあ……

私の膝の裏に彼の腕が伸ばされる。


「オッケー。
じゃ、ちゃんとつかまっててね。」



うう……恥ずかしい……。


私きっと重いよ……
それに一日中森を歩いてたから、汗臭くないかなとか、汚れてないかなとか、色々考えるけど何より……



この密着した体と
この顔の近さが恥ずかしい!



ふくらはぎの裏なんて、直接肌が触れてるし……うわあダメ!意識しちゃだめだ、意識しちゃだめだ!


無心だ……無心……無心……。


む、むり!
やっぱりどう頑張ってもドキドキする……!