不機嫌なあやかし



「だめだよ。女の子なんだから。」


彼は静かに、優しく言った。
そうして、私から手を離し、背中を見せてしゃがみ込んだ。
まるで今からおんぶでもするかの様な体制だ。


「ほら、乗って。」


彼は何でもないことの様に言う。
え?乗るって……えええ???


「の、乗るって……?」


「足怪我してるんでしょう。家まで僕が送ってあげる。」