不機嫌なあやかし



「私を封印しようとしても無駄だぞ。
お前らの様なガキに、誰が負けるか。」


謎の生き物は、いかにも
余裕たっぷりという様に、わざとらしく大きなあくびをしてみせた。

『祓い屋』の青年が壺を地面に
そっと置き、手を複雑な形に組んだ。
そして、静かに私に問いかけた。


「いいかい?いくよ。」


「天を司りし天候の獣、
雷のあやかし、雷獣(らいじゅう)。」


「天をつかさどりし……てんこうの…獣… 雷のあやかし……ら、らいじゅう……?」


あ〜、本当はこんなわけわからないことしなくない〜!!けど!


このまま何もせずにいても、助かる気が全くしないので、藁にもすがる気持ちで私はその言葉を繰り返した。


「我、真田の者は、お前を人に害をなすものとし、ここに、お前を封印する。」


「われ?さなだの物は、お前を人に害をなすものとし……ここに、お前を封印……?する……。」