不機嫌なあやかし



いや、そんなの嫌……



「……いや、誰か……助けて……。」



私がそう呟いた瞬間。
ずっと目の片隅にいた、例の蝶(仮)が眩い光を放ち、私と、私を押さえつけている生き物の視界を奪った。



次に目を開けた時、
例の蝶の姿はなく、
蝶(仮)がいた場所には、一人の青年が立っていた。

その青年は、青く長い着物を纏っていた。


「一応、監視のためにって蝶をつけてたんだけど、まさかこんなことになってるとはね。」


高く優しい声が響く。
青年が私の上の生き物に向かって言う。