「お腹……空いてるの……?」 「ああ、もう随分長く封印されていたからな。」 私は、こんな未知の生き物でもお腹を減らすのだということに謎の親近感を覚え、気軽に話しかけてしまった。 「よかったら、これ……食べる……?」 私は、カバンの中にあったクッキーを差し出した。 と、途端に相手の目の色が変わった。 毛を逆立てて、牙を剥き出し、こちらをすごい勢いで睨んでくる。 「なめるなよ?小娘。」 静かに、低く、 地獄に響くような声だ。