不機嫌なあやかし




「じゃあ、さっそく練習してみようか。
まず、両手を広げて前に出して、人差し指と人差し指、親指と親指をくっつけて、三角の輪を作るんだ。」



先輩は、驚いている私に気づかないのか、それともこんなのはいつものことなのか、さっそく練習に取り掛かろうとしている。



……ていうか両手でって……



「せ、せんぱい……」



「なに?」



「て、手、にぎってたら……両手で……できない……です……。」



恥ずかしさのあまり、上手く言葉が出てこなかった。

先輩の頬に一気に赤みがさす。



「ごっ、ごめんっ、気づかなくて……!!」



そう言って私の手をぱっと話した。



なんだか手をつないでいた時よりも照れくさい気がする。