その腕のあまりの力強さに、私はバランスを崩し、両手を先輩の胸に添える形になってしまった。 二人の距離が、さっきよりも一層、近くなる。 「せ、先輩……?」 「君のその『所有物』っていうのはどうにかならないのかな? 彼女に失礼だ。」 見上げた先輩の顔は微笑んでこそいたが、目が全く笑っていない。 「はあ? お前が勝手に俺のものに触る方が失礼だろうが!俺に対して!!」