不機嫌なあやかし



「君、さがって。」


先輩の声からは、ひどい緊張が伝わってくる。


「せ、先輩、その子は……!」


首を締め上げられ、苦しそうに唸る雷を助けるべく、私は声をかけたが、


「この可愛い姿に惑わされちゃいけない。
どんな姿になっても、こいつはやっぱり危険な妖なんだ。」


先輩の冷たい声に遮られた。