不機嫌なあやかし




校門を出てすぐの細い歩道を、少し赤く色づいてきた遠くの山を眺めながら歩いていた。

田舎だな〜

目に写るものは、田んぼと、田んぼと、畑と、田んぼとそして民家とコンビニ。

やだ、虫がいる。
しかも私の周りをちょろちょろ飛び回って……

「きゃあ!!」

驚いて、思わず大声をだしてしまった。この虫、かなりデカい。うそ、むり、気持ち悪い!!!!

どうにか振り払おうと、走ってみたり、アクロバティックに動いてみたりしても、どうにも付き纏ってくる。

「なんでついてくるの……」

ため息をついて、じとっ、と虫を睨みつける。

「あっ!」

その虫は、確かに見覚えがあった。
蝶の様な形だが、それにしてはあまりに大きく、花の形が歪である。

「英語の時間に見た……黒板の上の……!」

授業中は、寝ぼけてたのか、ぼんやりとしか見えなかったけれど、今ははっきり見える。

「…………学校からついてきたの?ちょっと気持ち悪いけど、ちょうど1人で心細かったし、1人よりましだよね?」

私は、周りに人がいない事を確認して、
蝶(仮)にそう囁いた。

虫と話しているところなんて見られて、変な噂でも立てられたらたまらないもん。