不機嫌なあやかし



「真田先輩……近いです……。」


私はどうにも耐えられなくなり、先ほどから感じていた不満を漏らした。


「ああ、ごめん。」


そう素っ気なく言い、肌から離れていく先輩の感触。
先輩は手の甲で口元を覆い、私から目をそらす。
彼の頬もなんとなく血色がよく見える。


先輩はかっこいいから、素でこんなことできちゃうんだろうな……。