それにしても痛すぎる。
頭の中、おかしなことになってないよね?
尋常じゃない痛みに本気で不安になっていると、男の子がふたり、寄って来た。
「まひろちゃん、ついに凛の鉄拳喰らっちゃった!?」
「暴力反対!」
ジャージ姿で、ひとりは胸にサッカーボールを抱えている。
どうやら朝練を終えたばかりみたいだけど……。
えっと……
今のクラスになって3週間。
あたしはまだ、クラスメイト……特に男子の名前と顔が一致しないんだ。
……まあ、いいや。
面白いことを言う人達だな、なんてのん気に思っていると、凛ちゃんが手を振り上げた。
「瞬(シュン)も拓弥(タクヤ)も!一回ヤキいれないと分かんないかなっ!」
「うわ……っ」
「すみませーんっ!」
途端にふたりは、くもの子を散らすかの様に逃げ始めた。
瞬くんは、手に持っていたサッカーボールを放り投げて。