「空いてる空いてる!」



すると、なぜか隣にいた凛ちゃんが即答した。


凛ちゃんっ……!?



「はは。じゃあ決まりな」

「……うん」



凛ちゃんてば。


……でも、ちょっと感謝。



「紺野、まひ借りるな」

「どーぞどーぞ。返さなくていいから!」



ドンッ……。


背中を押されて、耀くんの前に差し出される。



「きゃっ、ちょっと凛ちゃん!」



勢いで耀くんの胸に体がぶつかり、慌てて離れる。


やだ……っ、もう。



「ごめんっ……」



真っ赤になった顔で、ポツリと呟くと、



「行こっか」



同じように、少し顔を赤らめた耀くんが外を指していた。