「お先に失礼しまーす」



片付けを終えた後輩たちが、コートを出て行く。


残されたのは、あたしと凛ちゃんのふたりだけ。


グラウンドには、もう耀くんの姿もなかった。

ハイジャンのバーも片付けられている。



静かになった隣。

そっと伺うと、凛ちゃんが歯を食いしばっていた。




必死に隠そうとしているけど、あたしには分かった。


……泣かないように我慢してるんだ。



あたしは凛ちゃんの頭を引き寄せて、自分の肩に乗せた。


無意識だった。



「泣いて、いいんだよ」

「やだ……泣かないよ。泣くわけないじゃん……あたしが」



無理に笑おうとしているその声は、やっぱりいつもの凛ちゃんじゃなくて。



「涙も我慢しちゃダメ。そうしないと、ちゃんと終われないよ?」