地面じっと見つめていた母親は、顔をあげた時、俺をキッ……と睨んだ。
「耀太君」
「はい……」
「あの子にこれ以上何かあったら、絶対に許しませんから!」
母親はきつく俺を咎めた。
"これ以上……"
その言葉は胸にぐさりと突き刺さった。
俺は、既に許されないことをしている。
普通の恋人同士と錯覚しがちの今の日常に、それは改めて俺達の関係を知らしめる言葉だった。
恋人同士だなんて言っても、俺たちはいつまでも被害者と加害者なんだ……。
自転車を飛ばし、行きそうなところを探す。
ファーストフード、ゲーセン、カラオケボックス、思いつくまま探しまくってから気づく。
……紗衣はこんなとこに出入りなんてしない。
じゃあ、紗衣はどこへ行ったんだ……。