「……耀くん……ッ」
ふいに漏れた甘い声。
まひじゃないその声に、ハッとした。
……馬鹿だ……俺。
どうかしてる……。
「ゴメン……」
体を離し、うつむいたまま謝るしかできない俺。
沈黙がふたりを包む。
「……耀くんは、今、幸せ……?」
時間を置いて再び問いかけられた質問。
咄嗟に答えられずにいると。
「あたしのこと、好き?」
「…………」
いつになく直球で攻めてくる紗衣。
……どうして、簡単な嘘もつけないんだろう。
好きって言えばいいのに。
黙り込んでしまった俺に、紗衣は信じられないことを口にした。
「まだ、羽鳥さんのことが好きなの?」