「彼氏が出来たみたいで」 「……へぇー」 「すごく、幸せそうだった」 ゴクリ。 俺は喉を鳴らした。 なんだよ、この振りは……。 「耀くんは、幸せ?」 「……あ、ああ……」 喉が渇いてうまく言葉にならない。 俺はいま、幸せなのか……? 「ねえ耀くん、キスして?」 「えっ……ここで……?」 戸惑う俺に、紗依はさらりと答える。 「つき合っているんだもの。キスするのに場所なんて選ばないでしょ?」 「…………」