やっぱり涙は止められなかった。
あの夏から溜めていた涙が、一気にあふれ出すように涙腺が決壊した。
流れる涙は、口元を抑えた左手を濡らしていく。
「……ごめん……なさい……っ……」
………耀くん。
あたし達は、結ばれちゃいけないの。
自分たちの思いだけを貫くことは、出来ないの。
「……ううっ……ううっ……」
一生懸命声を殺しているけど、耀くんの小刻みに揺れる背中からは胸が痛くなるような嗚咽が漏れる。
耀くんが……泣いてる……。
あたしの涙が耀くんへの想いであるように
耀くんの涙も、あたしへの想いの分……。
それが分かるから、尚更苦しい。
耀くんがあたしを求めて、悔しがるほど
あたしは苦しくてたまらないの。