一番欲しかった言葉が聞けるかもしれなかった。
けど、これも裏切りになるから。
聞いちゃいけないんだ。
言わせちゃ……いけないんだ……。
だって
「耀くんには……」
……その先の言葉は、辛すぎて言えないけど。
耀くんがハッとする。
自分を取り戻したんだと思う。
広瀬さんにとっての、自分を。
「……っ、
……まひ……」
耀くんの手は、あたしの頬から肩に下り
腕に落ち
崩れるように地面につく。
「………クッソーーーーーーッ!!!」
悲痛な声をあげながら、そこへ向かって何度も何度も拳を振り下ろした。
ゆっくり陽が沈んでいく静かな山間に、耀くんの声が響く。
「……っ、ううっ……」
そんな耀くんが見ていられなくて、あたしは口に手を当て天を仰いだ。



