あたしは部活を途中で抜け出した。
やってきたのは部室棟。
陸上部の部室の前で、足を止める。
一番耀くんに近い場所で考えたら、答えが分かる気がしたから。
なのに。
『もう、来ないでほしい……』
最後に聞いた言葉が邪魔する。
なにも考えられなくする。
あたしへ対しての非難じゃなくて、あの時の耀くんなら仕方ない。
分かってる。
それでも、自信がない。
明日笑顔を見せる自信も。
笑顔をもらえる自信も。
───ガチャ。
その時見つめていた陸上部のドアが開いた。
「羽鳥?こんなとこで何してんの?」
「あ……っと……」
出てきたのは拓弥くんで、怪訝な顔をされる。