聖華女学院と言えば、誰もが聞いて憧れる超お嬢様学校。
幼稚部から大学まで一貫してる、正真正銘のエリート校だ。
こんな畑違いの緑ヶ浜高校に、どうして?
それはあたしも同感。
「静かに!みんなよろしく頼むな。広瀬の席はあそこだ」
成瀬先生がガヤガヤした教室内を一喝。
そして、指示した席に彼女が歩き始める。
まったく教室内の雰囲気なんて気にしていなさそうに。
そこはあたしの二つ後ろの席で、彼女が近づいてくる。
「聖華ってめっちゃお嬢様学校じゃん!?なにやらかしたんだろ……」
「凛ちゃんシッ!聞こえちゃうよ!」
通り過ぎる彼女をチラッと見ると目が合った。
けどすぐに逸らされてしまった。
背筋をピンと伸ばしたまま自分の席へ着く。
長袖のブラウスに黒いストッキング。
ここの制服を着ているけど、着こなしが聖華の名残を感じさせて異質を放っていた。
「なーんかツンとしてて感じ悪ぅ~」
凛ちゃんは負のツボに入ったらしく、奥歯をギシギシ言わせていた。