ゆっくりベッドに近づく。
会ったら話したいことは山ほどあったのに、いざとなったら何を話していいのかわからなかった。
大会に出れなかったこと。
ショックだったよね。
耀くんの心の傷が心配だった。
なのに。
「ごめんな、まひ」
「ん?」
「約束守れなくて」
「……約束」
「ああ……。跳ぶ……って、見てろ……ってかっこつけときながら」
耀くんは、悔しそうに呟いた。
「ううん」
……そんなこと。
目線を同じにしたくて、あたしはベッド脇の椅子に座った。
「耀くんがここにいるだけでいいよ……」
他には何も望まない。
喋ったら、またじわりと涙が溢れて来た。