「なに」
思わず含み笑いが漏れた。
まひのしたいことが分からなくて、そんな姿が可愛いなんて思いながら。
「……お守り」
まひが小さく呟いた。
「お守り?」
貰ったそれを掲げてみる。
白い紙袋の中身が光に透けた。
水色の長方形のものが目に映る。
「あっ、こんなの渡したからって気負わないでね。別に優勝してほしいとか、インターハイに行って欲しいとか思ってるわけじゃないから」
「…………?」
「ああっ、それも……変だよね。もちろん頑張って欲しいって思ってるよ?……っていうのも変かっ…」
「…………」
「誤解しないでね!?頑張っていうのは、結果のことじゃなくてなんていうか……」
口下手なまひが、一生懸命気持ちを伝えようとしてくれていることが、すごく嬉しかった。
明日の地区予選。
俺は出場することに決めた。
けど、出場を躊躇っていた俺に、プレッシャーを与えないようにしてくれているんだろ?
気持ちは分かったから、もういいよって言おうとしたとき。