「あ……えっと……」
目の前の耀くんにドキドキしているくせに
この傷は、耀くんを追っていてついたんじゃない。
それが、後ろめたい。
「ぼーっとしてるから……。またよそ見してたのか?」
耀くんは呆れたように言うと、クシャクシャっとあたしの頭を撫でた。
そんな仕草がたまらなく嬉しい。
「へへっ……」
あたしを分かってる風に言ってくれる所が、くすぐったいんだ。
痛みも一瞬忘れて笑顔になる。
「そこがまひらしいけどなっ!」
耀くんは、クラクラしちゃいそうな眩しい笑顔を惜しげもなく見せると、『あとで!』そう言って、部室棟へ走って行った。
「……うん」
そんな耀くんの姿を、目で追う。
Tシャツから伸びたたくましい腕。
お日様にも負けない笑顔。
……声。
全てに。
まだドキドキしてる。
あたし、やっぱり……
耀くんが好きなのかな……。