ここまでくると大丈夫だろう。

私が駆け込んだ先は、神社の境内だった。

少し離れたこの場所に来る人なんていなくて、静かだった。


ただ花火が打ち上がる音だけが聞こえてきた。


__ドンッ


振り返って空を見上げた。

赤黒い光が地上から放たれたと思ったら、急に花開いて光の粒が躍る。

かと思えば、シュッと音を立ててまるですい星のように軌道を描いて消える花火もあった。

私はその一瞬の軌道を目で追いかけた。

重なる光の粒は、重なる光の線は、闇によく映えた。

鮮やかで華やかな夏の色。


打ち上げ花火。

一瞬で空に咲いたそれは次の瞬間には消えて、まるで泡沫(ウタカタ)のように儚い。


咲き散った花火の燃えカスが、ゆらゆらと緩やかなスピードで落ちていく。

最後の煌きが消えるまでずっと見ていた。


ああ、2人と一緒に、見たかったな。

なんて、私から離れたくせに何を言っているのだろうと、ふっと笑いがこぼれた。


__ドンッ、ドンッ

花は次々に打ち上げられては空に咲き誇った。