無意識に、優月の柔らかい髪を撫でていた。 まるで、猫を撫でるかのような母性本能的行動に、俺自身が一番驚く。 こんなにも穏やかな感情が、俺にもあっただなんて。 ……いつからだ? ……んなの、分かってる。 優月に出会って……いや、再会してからだ。 『最近の凌牙、ヤケに人間っぽいよな』 秋が深まってきた頃だったか。 大翔から、そんな失礼な言葉を言われたのは。 ……人間っぽいか。 そうだな。 これまでの俺は、感情なんてもの、殆ど見せていなかったのだから。