「朝からお騒がせしました」


まだ赤い目と鼻をしたお姉ちゃんが、玄関で丁寧に頭を下げた。


ここには、和希を連れてきたテルさんもいるわけで。


その後、テルさんとお姉ちゃんが和希のことでやり取りしていたかどうかわからないけど。


お姉ちゃんは既婚者だけど、もしかしたら……なんて淡い期待を拭えない。


「また、来てください……」


不器用ながら、そう口にする凌牙。


さっきから注意してみてるけど、お姉ちゃんがテルさんを意図的に見た気配はない。


……もう、過去のことなのかな……。