「和希、まだ来てないから上がって待ってて?」


まさか、お姉ちゃんが和希の居る本家に迎えに行けるわけもなく。


昨日から本家に泊っているテルさんが、和希を連れて来てくれることになっている。


「……でも……」


お姉ちゃんは躊躇うように言って、中を覗き込む。


警戒しているのは、きっと中にいると分かっている凌牙に。


大丈夫、そう言おうとしたとき。


「入ってください」


背後から声がして振り向けば。


身支度を整えた凌牙がそこに立っていた。