和希を介して、あたしと凌牙はもっと複雑な関係になってしまったのかもしれない。


両親に愛されなかった凌牙と、実際は両親に愛されていた和希。


その両極な"兄弟"に挟まれたあたしは、どんな立ち位置で接していいのだろう。


自分の弟だと言い張るつもりはない。


だからと言って、弟じゃないと、突き放すつもりもない。


凌牙の気持ちを考えると、どうしていいのか分からないのが現実なんだ。



凌牙は穏やかに言う。


「今までの分も、ちゃんと挨拶させてやってくれ」


それは、やっぱり和希の兄としての意味を含んでいて。


「な」


頭をクシャクシャっと撫でる凌牙の表情を見れず。


「……うん」


その胸の中に顔をうずめたまま、頷いた。



…To be continued