この顔にはもう慣れたし、しょせん相手は中学生。
これくらい何とも思わない。
「結月ちゃん、ご飯できてるから……」
おばさんがオドオドしながらそう言ったけれど、私はいつものように聞こえないふりをしてえみりを押しのけて家にあがる。
「……いたっ!」
えみりの右腕が私の腕に当たった時、かすかに声をあげた。
わざとやったわけではないし、そこまで強く当たったわけではない。
それなのに彼女は顔をしかめて大げさに声をあげて、右腕を押さえている。
もしかしてどこかケガしてる?
「どうした?えみり」
「お姉ちゃんがぶつかってきたから……」
お父さんの問いかけにえみりは泣きそうな顔で答えた。
……またこれか。
私が怒られる原因をワザと作るのもえみりの嫌がらせのひとつ。
「おい、結月……」
「やめなさい!えみりがいつまでもそこにいるからでしょう?結月ちゃんはワザとぶつかったわけじゃないんだから、そういう風に悪く言うんじゃないの!結月ちゃん、ごめんなさいね」
雷が落ちる直前におばさんが慌てて止めたので、未遂で済んだ。