毎日同じ色のパーカーだけど、全然汚れていないから同じものをいくつか持っているのか、毎日洗濯しているかのどちらか。
リツに関してわからない事は他にもある。
学年は私と同じ高校２年生って教えてくれたけど、どこの高校とか、どの辺に住んでいるのかとかわからない。
言わないって事は教えたくないって事だろうし、あえて質問するのも気が引ける。
それに知っても知らなくてもここで会う関係には何も影響はしないと思うし。
「おかえりなさい、お姉ちゃん」
リツと別れて家に帰ると、えみりが玄関で靴を脱いでいた。
お父さんとおばさんがえみりを出迎えていたところだったらしく、最悪なタイミングになったなと舌打ちしてしまう。
ふたりがいるから、えみりは猫なで声で『可愛くて、けなげな妹』に早変わり。
「こんな時間まで何してんだ！」
とたんに雷が落ち、お父さんに背を向けているえみりは、私に向かってニヤリとイジワルそうに笑った。
