「綺麗……」
「ここは視界に何も遮るものなく、星が見える絶好の場所なんだ。知らなかっただろ?」
「うん……」
知らなかった。
だって、この年でジャングルジムにのぼろうだなんて思わないじゃない。
「そういえば来週、流星群のピークがくるんだってよ」
「流星群?」
「知らねーの?流れ星がたくさん見られるんだ」
「……そういう意味で聞き返したんじゃないけど」
流星群くらい、テレビで毎日のように騒いでいるから知ってるし。
今年は観測条件がいいらしくで、星が雨のように降り注ぐ光景が期待できるとか。
「そんなに叶えたい願い事があるの?」
「あるよ」
私の問いかけに即答したリツは手をあわせて目を閉じた。
「好きな女の子と両想いになれますように……とか?」
「もっと大事な事だよ。……結月が心から笑って過ごせますように」
「私?」
祈るように言ったリツに驚いてしまった。



