今までは、朝起きても学校から帰ってきても家に誰もいなかった。
お母さんがいない寂しさはあったけれど、煩わしさはなかった。
でも、あの親子が来てから、家には必ず誰かがいる状態。
自分の部屋にいても視線を感じるような気がして落ち着かない。
それがすごく苦痛で嫌だった。
私は財布とスマホを持つと、私服に着替えて何も言わずにすぐに家を出る。
こんな生活が続くなら、どこでもいいから部活に入った方が時間つぶせるかもしれない。
そんな事を考えながら、あてもなく歩いて来て、たどり着いた公園。
夕日に照らされて、遊具が赤く染まっている。
数人の小学生がベンチに座って、ゲームをしていた。
走り回って鬼ごっこをする子のそばで、母親らしき人たちが固まって話をしている。
そんな中、誰も座っていないブランコに私は腰かけた。
ブランコなんて小学生以来。
キイッという音が鳴って、揺れる。



