誰のせいだと思ってんのよ……。
「ほら、そんなとこにいないで上がってきなよ」
リツはそう言って私に向かって手を差し伸べた。
細い腕で私を引っ張り上げられるわけがないのに。
彼の手を無視して私はジャングルジムを自力でのぼる。
「こういう時は、ありがとうってニッコリ笑えよ」
「私、こういう時に可愛く笑えない女だから、ごめんね」
ムスッとしながら私はリツの隣に座った。
リツは小首をかしげながら、私の両頬をムニッとつまむ。
「ちょ、ちょっとリツ……?」
「可愛くなれる事を放棄してどうすんだよ?ほら、笑えって」
「痛いってば、リツ……っ!」
お返しとばかりに私も手を伸ばしてリツの頬をつまんだ。
それなりにカッコよかったリツの顔がひょうきんな物に変化して、私は思わずフッと噴き出してしまった。



