廊下にいた人やすでに教室にいた子が何事かとこちらを見た。
私をこんな風に呼ぶ人って、川上君くらいしかいないのに。
「ごめんね、藤村さん。コレ、渡しておこうと思って」
「……?」
黒木さんが私の元に駆け寄ってきて、メモを差し出した。
不思議に思いながらそれを受け取って中を開く。
「私のアドレスとスマホの番号。いつでも声かけてねって言ったけど、声をかけようと思った時につかまらなかったら困るかなって思って」
「……ありがとう」
わざわざ書いて持ってきてくれたって事?
少し戸惑いながら言うと、黒木さんはニッコリ笑った。
「もちろん、料理愛好会に関係ない時に電話してきてもいいからね」
そう言って、彼女は自分のクラスへと戻っていく。
変わった子だなって思った。
私の変なウワサが黒木さんのクラスにも回っているはずなのに。



