「今話してたの、D組の黒木だよな?藤村知り合い?」
「知り合いじゃないよ」
料理愛好会に勧誘されていただけなんだけど、川上君には関係ないから言わなかった。
話を切って、私は教室へと向かう。
川上君と少し言葉を交わしただけでも、チクチクとした視線が痛い。
ナオの一件があってから、周りの視線が厳しくなったような気がする。
ナオからグループ内に回り、グループ内から他のクラスに話が回ったみたい。
うちのクラスにも回ってきたみたいで、前より声をかけられなくなったし、恵茉も同じバスケ部の子にガードされているようで、言葉を交わす機会がグッと減った。
あれって私に落ち度はなかったと思うんだけど……。
頭が痛くなるような現象に私はため息をつく事しかできなかった。
学校って家にいるよりいくらかマシな空間だと思っていたけれど、嫉妬や憎悪が生まれやすい場所だから面倒。
それがなければ、本当にいい場所だと思うのに。
「藤村さんー!」
教室に入ろうとしたら、黒木さんが大きな声で私を呼んだ。



