「結月、朝ごはんを食べて行きなさい」

「学校で食べるんで」


ニコニコとしたえみりがそばにいるんだから私の事は放っておいてほしい。

階段をおりてそのまま玄関へ向かうと、おばさんがお弁当箱の入った袋を持ってリビングから現れた。


「結月ちゃん、お弁当……」


毎朝毎朝、よくもまあ呪文のように繰り返す事ができるね。

何だか呪いをかけられているような気分。

だけどもちろん今日も無視。


「結月、母さんがせっかく作ってくれたんだから、弁当を持って行かないか!」


私の態度を見て、お父さんの雷が朝から落ちる。

朝からそんなパワー使えるなんて、感心するよ。

ローファーを履いて、私はドアを開けて外に出た。

日の光はこんなにまぶしいのに、私の心の中まで光は届かない。