一緒に笑い合って、色々な話題で盛り上がって、遊びに行けるような仲のいい友達を作りたかった。
でも、どうしても私にはそれができなかった。
遊んでいる時だけ家の事を忘れられるかもしれないけれど、別れた時の虚しさが嫌だったから。
みんなは家に帰れば、あたたかいご飯と共にあたたかい家族がいる。
でも、私にはそんな場所は存在しない。
私だけが家族ではないのだから。
私はもうすぐ17歳になる。
今の時点で自分で生き方を決めなきゃいけないのなら、自分の道を自分ひとりで固めていくのも一緒。
誰にも頼らなくて済むように。
「おかえりなさい、結月ちゃん」
私が帰れば、必ず玄関に姿を見せる女の人。
もちろん私は聞こえないふりをして、さっさと2階の自分の部屋にあがる。
おかえりなさいって……。
すっかり、この家は自分の家ですって顔をし始めた。
家にいても、心は休まらない。



