この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


たたんだ傘を再び駅を出る時に広げて、さした。

本当は家に帰りたくないんだけど、足元が濡れている状態はかなり気持ち悪い。

それに雨の音を聞いていると、お母さんが亡くなった時の事を思い出すからできれば部屋で音楽を聴いていたかった。


「……えっ?」


公園の前に差し掛かった時、ジャングルジムのてっぺんに黒い人影があるのに気が付いて思わず足を止めてしまった。

この雨の中、公園で遊ぶ人なんかいない。

ましてジャングルジムのてっぺんにのぼっているなんて。

傘すらさしていないシルエットは、何度か見たものと多分一緒。

私は公園の方へ足を向けると、大股でジャングルジムへと近づいていく。


「何してんの?こんな雨の中、そんなところにいたら風邪ひくでしょう!」

「バカは風邪ひかないんだろ?オレはバカだから平気」


声に気が付いて、彼は振り返るなりそう言って笑った。