この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


2番の就職に丸を付けた人はそれで終わりのようだった。


「それから、少しずつ暗くなるのが早くなってるから下校時は車に気を付けるように。先月、近くの交差点で横断中の高校生が信号無視の車にはねられる事故がおきたばかりだから、信号が青でも油断しないようにな。以上」


先生は話を切り上げ、帰りの挨拶をすると教室を出て行った。

するととたんに教室内は騒がしくなる。

クシャッと乱暴にカバンの中に進路調査票を入れて、私は立ち上がった。


「ばいばい、結月」


私より先に身支度を整え終えた恵茉が肩をたたいて手を振った。


「ばいばい、また明日」


手を振り返すと、恵茉は笑顔で教室を出ていく。

恵茉はバスケ部に所属していて、副キャプテンを務めている。

人懐っこくて明るくて、誰とでも仲良くなれる性格で友達もたくさんいるし、信頼も厚い。

私もそんな普通の高校生活を送りたかった。

お母さんが生きていたら、毎日楽しい高校生活を送れた気がする。