この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


そんなのは当たり前。

目立っている人と一緒にいて、言いがかり付けられても嫌だし。

今朝だって駆け込み乗車をしてカバンをドアに挟んで目立っていた上、ナオに一緒にいたところを見られていたんだから……。

そんな事を全く知らない川上君は私から傘を奪い取ると、真っ直ぐにさした。

それでも私が濡れないように気遣ってくれているのか、彼の右肩は傘からはみ出て濡れている。


「私のなんかに入らないで、彼女の傘に入れてもらえばいいじゃない」

「急いでいたからゴメン。それに俺、彼女いないからそれはムリなんだ」

「他にもたくさんいるでしょ?入れてくれそうな女の子」

「俺は藤村に入れてもらいたかったから。別にそれだけだよ」


たまたま目の前にいたのが私だったからでしょう?

今さら追い出すわけにもいかないし、駅までなら仕方がない。


「天気って急変するからカバンに折りたたみくらい入れておいた方がいいよ」

「明日からそうするよ」


ため息をつきながらそう言うと、ハハハと笑いながら川上君は答えた。