この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


駅に向かって歩いていると、雨の音に混じって、後ろからパシャパシャと水を跳ね飛ばすような音が後ろから聞こえて来た。

待つのを諦めて思い切って飛び出した人がいたのだろう。

雨の中を駅まで全速力で……。


「助かったー。急に降ってくるから参ったよ」

「え、ちょっと……!」


通り過ぎていくかと思われた足跡の主。

けれど、通り過ぎずにグイッと強引に私の傘に入り込んできた。

それは今朝、駆け込み乗車をしてカバンを挟まれた次期生徒会長の川上君。

握っていた傘を守るように自分の方に引き寄せると、彼は傘の柄に手を伸ばしてきた。


「ひどいなー。人が困ってるっていうのに」

「その前に人としてどうかと思うけど?何も言わずに強引に入り込んできて、困ってる人を装わないでくれる?」

「ハハハ、確かに。でも傘をさす前に声をかけたとしても入れてはくれなかっただろ?」


川上君の問いかけに私はすぐにうなずいた。