何も私でなくてもいいのに。
彼の話を目をキラキラさせてニコニコしながら一生懸命に反応してくれる女の子なんてたくさんいるじゃん。
今度から話しかけられないよう、イヤホンでもしておこうかな。
「藤村、また後で」
学校の最寄りの駅についても彼は降りなかった。
何も言わずに降りた私に、律儀に声をかける川上君。
それに対して私は聞こえなかったフリをして改札口に向かって歩いた。
『また後で』って言われても、仲がいいわけではないし私は関わりたくないから。
電車のドアが閉まり、カタンカタンと音をたててホームを出て行く。
風でなびいた髪を整えながら、私は階段をのぼった。
「おはよ、結月」
「……おはよう、ナオ」
階段をのぼっている途中で後ろから呼ばれて振り返ると、ナオがぎこちない笑顔で寄って来た。



