「えみりが本当にごめんなさい。結月ちゃんの大事な写真たてを……」
壊れてしまったモノは二度と戻らない。
それは物だけでなく、父との信頼関係すらそう思う……。
「結月ちゃん、本当にごめんなさい!えみりにはよく言っておいたので……」
何も言わずにスッとおばさんの横を通り抜ける。
慌てたように何度も何度も頭を下げるおばさんをそのままにして、私は家に入った。
ドアの音に反応したのか、苦虫を噛み潰したような顔でお父さんがリビングから出てくる。
何か言いたそうな顔で私を見るけれど、話を聞く気は全くなかった。
どんな言い訳を並べても私の心は動かないし状況は何も変わらない。
二階に上がれば、えみりが泣きはらしたような赤い目をして私を睨みながら立っている。
「アンタのせいで怒られたんだから!お母さんに嫌がらせしてるアンタに仕返しして何が悪いのよ!」
そうえみりに言われても、さっきのように言い返す気はほとほとない。