この星を見上げたら、僕はキミの幸せを願う。


涙をぬぐいながら歩いていたら、公園にたどり着いた。

街灯はあるけれど、それでも薄暗いせいか夜の公園に人影は見当たらない。

誰にも見られずに気の済むまで泣けると思い、足を踏み入れたけれど、ジャングルジムの上に誰かがいるのを見てしまった。

よく目を凝らしてみると、どうやら昨日と同じ人のよう。

願いをかけるためにまた星を見上げているのだろうか。


「こんばんは」


足音をたてずに近づいたつもりだけど、気付いてしまったらしい。

振り返りもせずに彼はそう言った。


「……こんばんは」

「ここに来たって事は、やっぱり願いをかけたいんじゃないの?」


そこで初めて彼はこちらを振り返った。

今日もフードをかぶっていて、どんな表情をしているのか見えない。

泣いていた事がバレないように私は慌てて目をこすった。